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『1日30品目食べる』呪縛にとらわれていませんか?

 昔から、快食、快便、快眠は、健康のバロメータといわれています。
それらのためには、「バランスのよい食事をとる」ことも大切です。

「バランスのよい食事」と一口で言っても、何をもってのバランスなのか基準はあるのでしょうか。最近では、栄養バランスをとるのに、“一汁一菜くらいがちょうどよい”といわれています。ごはん、汁もの、漬物にいくつかのおかずを組み合わせる日本の伝統的なスタイルは、タンパク質、脂肪、炭水化物のバランスがとても良いとされています。だしの使用により、塩分、脂分の摂取を抑えることができます。

以前は「1日30品目食べよう」という標語がありました。1日30品目という目標は、1985年(今から32年前)に厚生省が発表した数字です。この標語は2000年に撤廃されています。

一人暮らしの家や、夫婦共働き、育児や介護中で忙しい家庭では、毎日続けて1日30品目も用意して食べることは容易ではありません。30品目の目標のため、いろいろな種類のセットされたサラダや野菜ジュースを買って摂取する必要があります。

 私(岡北)が小学校高学年の時の話(今から30年以上前)にさかのぼります。友人と帰宅の途中、近所のスーパーで栄養士さん(?)と思われる人に話しかけられたことがあります。数日間何を食べ、材料に何が入っていたかというアンケートをとられ、その結果から今後の食生活についてアドバイスされたことがあります。
はっきりとした数字は失念しましたが、友人はそれなりの品目を食べていました。一方で私は、両親ともに仕事で忙しい時期だったこともあって、品目数が友人と比べて少なかったことを覚えています。
 
 書籍「Healthy Aging 東大が考える100歳までの人生設計 東京大学高齢社会総合研究機構-(監修) 幻冬舎-(出版)」には以下のように書かれています。「多品目を食べるという観点からは、一汁三菜が理想ですが、毎回、三菜を用意するのは大変だし、つい食べ過ぎになる。ふだんの食事は、一汁一菜に漬け物や豆や佃煮などの常備菜をつけ、もの足らなければ、冷奴や卵焼、カマボコをつけたり、納豆を食べたりするのが現実的。」と述べています。

 また、料理研究家である土井善晴氏も、家庭料理の研究の末、「いろいろな事情で、お料理を作るのがたいへんと感じている人には、一汁一菜というスタイルで十分。自身やうまくいけば家族などの心身の健康でありたいという思いに応えられるのではないか」と伝えています。

 私はこれらの提案は、「無理なく健康生活をしたい」という人に広く受け入れられると考えています。

2017年6月10日