【ブログ】胃のデリケートな方の食事・生活養生法(秋)
夏の疲れは、夏の終わり~秋にかけ、一気に表れることがあります。食欲不振や疲れやすさ、下痢、軟便などの症状が出てきやすいです。
特に胃の弱い方は注意が必要です。胃の弱い方は、1度の食事で、例えば定食もの 大人一人前を残さずにしっかりと食べるのを重視することよりも、少量ずつで良いので、バランスのとれた食事をよく噛んで摂ることの方が大切です。
さらに食べ物からの栄養をしっかりと吸収して、体じゅうにそれらを行き渡らせるようにするために、「松寿仙(しょうじゅせん;第3類医薬品)」を継続してお飲みいただくと、血色が良くなり、体力や持久力の向上に期待できます。
今年の7、8月は特に暑く、40度近い気温の日が続きました。室内で過ごす時間の多かった方もいらっしゃると思います。
過ごしやすい時間帯を利用して、食後30分以上経った頃に、20分程度の散歩に出かけてみませんか。胃のデリケートな方や睡眠不足の方は、食後に眠くなりがちですが、歩くことで気分がリフレッシュし、心地よさを感じられるでしょう。
運動することが苦手とおっしゃる方は、まずは3分程度、普段着のままで、スニーカーなど歩きやすい靴を履いて、家の周辺を歩くことから始めてみましょう。毎日少しずつ続けることが大切だ私は考えています。
歩く際には、少し早歩きを意識すると(心臓から)血液を1回に拍出する量が増え、心肺機能が強化されます。これにより、体力の向上、生活習慣病の予防など、健康を守ることに役立ちます。
けやき堂薬局では、血流計(脈波・コロトコフ音記録計)を使って1回拍出量の測定も可能です。ちなみに、体脂肪1キログラムを消費するには7200キロカロリー使うことが必要とされており、あんぱん1個(約330キロカロリー)を消費するには、約80分のウオーキングが必要とされています(NHKきょうの健康2024.1より)。ダイエットを目標にされている方は、食生活の改善とともに、継続的な運動を心がけましょう。(岡北)
最近多い、健康相談の内容(9月)女性の更年期の症状、自律神経など
最近、けやき堂薬局には、女性の体に関するお悩み(更年期におこるさまざまな症状、子宝、生理不順)や、自律神経の乱れ(不眠、慢性的な疲労、不安)、さらに胃腸の不調(胃痛、便秘、下痢)のご相談が多く寄せられています。
夏の疲れは、夏の終わり~秋にかけ、一気に表れることがあります。食欲不振や疲れやすさ、下痢、軟便などの症状が出てきやすいです。
特に胃の弱い方は注意が必要です。胃の弱い方は、1度の食事で、例えば定食もの 大人一人前を残さずにしっかりと食べるよう重視することよりも、少量ずつで良いので、バランスのとれた食事をよく噛んで摂ることの方が大切です。
【ブログ】夏野菜 野菜の栄養を多く摂取する、ひと工夫とは?
夏野菜について; 特に体の熱を取る食材や、野菜の色が濃くビタミンや抗酸化物質(カロテンやポリフェノールなど)を豊富に含む食材が多いです。さらに、ネバネバとした成分(ペクチンなど)に富むオクラやモロヘイヤ、ツルムラサキのように、整腸作用や糖の吸収を遅らせて血糖値の上昇を抑える働きのある食材もあります。これらの食材は、暑さで疲れた胃腸や体力の回復に役立ちます。
植物は自らの意志で動くことができないので、自身で生み出す成分によって外敵から身を守っているといわれています。太陽の光を猛烈に浴びても植物は癌にならないことで知られています。紫外線や虫などから身を守る有益な化学物質のことを「ファイトケミカル」と呼ばれ、抗菌、抗炎症、抗酸化作用などあることが知られています。これらはビタミンやミネラルとは異なる成分で、色や香り、苦味(アク)のもとになっています。
生野菜で食べることよりも加熱して煮汁ごと食べることの方がファイトケミカルを多く摂取できます。
野菜に含まれている、ビタミンCも野菜を煮て、スープにしている場合は、ビタミンEやアントシアニンなどのファイトケミカルといった抗酸化物質と共存しているため、加熱しても分解されずに大半がスープの中に残っているそうです。(書籍「最強の野菜スープ」 前田浩(著)より)
激しい暑さで野菜の生育には大変な環境だと思いますが、今のところ野菜を比較的入手しやすく、献立にも取り入れやすいですね。
私は、キャベツ・人参・玉ねぎなどの常備野菜や、冷蔵庫に買い置きしている食材を使ってスープにし、野菜を摂るように心がけています。野菜スープや味噌汁を含め料理の味付けが控えめなので家族から、「健康食だね」とよく言われます。薄味なため、夫が自分の皿に調味料を足している姿を見ることもありますが、「腎臓のためにも薄味がいいのよ」と言いながら、目をつぶっています。我が家では、家族揃って食事をするのは週に2~3回ほど。その時間が最近の出来事や予定を語り合うひとときです。(岡北)
【ブログ】夏を快適に過ごすための漢方の知恵、身近な食材
二十四節気では、今年の夏至は6/21-7/6、立秋は8/7-8/22。暦の上ではあと1か月ほどで秋とはいえ、日本の夏はこれからが本番ですね。
高温多湿の気候により、体内に熱がこもりやすく、ほてりやのぼせ、頭痛、気の高ぶり、不眠といった不調を起こすことがあります。こうした症状を防ぐには、体にこもった熱を冷ましたり、発散したりする工夫が大切です。そうは言っても、冷房の効かせすぎや冷たい飲食物の摂りすぎは、内臓を冷やして働きを鈍らせ、むくみやだるさ、疲れやすさの原因にもなります。
中国医学では、夏の高温による病気や症状の原因のことを「暑邪(しょじゃ)」、湿度による同じく原因のことを「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。これらが体に与える影響を考慮し、余分な熱や湿を取り除く食材や、発散を助ける食材を食事に取り入れることを勧めています。
体の熱を冷ます食材には、ナス、トマト、キュウリ、ゴーヤ、冬瓜、豆腐、スイカ、緑豆もやし、ミント、緑茶、レンコン、菊花などがあります。これらは常温、または加熱して摂ることで体を冷やしすぎるのを防ぎます。
一方、体の熱の発散を助ける食材にはネギ、生姜、紫蘇の葉、ミョウガなどがあり、これらは体を温める作用もあるため、熱を冷ます食材と組み合わせて摂るとバランスがとれます。また、新陳代謝を促し、体の熱を外に逃しやすくするためにも、しっかりと湯船に浸かる入浴を心がけましょう。冷房の効いた室内に長くいる方や冷えやすい体質の方は、先ほど挙げた生姜やネギなどの温性の食材を積極的に取り入れましょう。
漢方の選薬や過ごし方のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください(事前に要予約)。
2025年7月4日
【コラム】けやき堂薬局の健康相談・カウンセリング
けやき堂薬局では、ご予約くださったお客様には落ち着いた環境の中でお話しいただけるよう個室でじっくりと健康相談を伺っています。私たちからお客様にお薬や生活習慣を押しつけたり、無理にプライベートなことを聞き出したりすることはありません。お客様の生活背景や考え方を尊重し、その方自身が「気づき」を得られるカウンセリングを目指しています。
なお、「しっかり病気を治したいから、必要な養生を教えてほしい」というご希望の方には、体質や現在の症状をふまえた具体的な養生法をお伝えしています。必要に応じて、脈波・コロトコフ音記録計でチェックしたり、舌の色・形・舌苔なども併せて確認したりして、的確にご提案をするよう努めています。
健康相談は予約制となっております。ご希望の方はお気軽にお声がけください。(岡北)
【ブログ】ストレスや感情の変化と胃腸の不快感
日々の生活の中で、ストレスや感情の変化が私たちの体にさまざまな影響を与えます。特に、胃腸の不快感は多くの人が経験する症状のひとつです。ストレスが要因のみぞおちのつかえや張り、胃痛、腹痛、食欲減退、下痢など(1つでも当てはまるなら)中国医学では、「肝胃不和(かんいふわ)」、又は「肝脾不和(かんぴふわ)」の状態と考えます。
これらの症状を和らげるためには、日常生活を送る中で、気(元気の気)の巡りを整え、血流を良くすることです。
具体的な方法として、適度な運動や、深呼吸、歌を歌う、アロマセラピーなどを取り入れることで、自律神経のバランスを整えることが期待できます。最近は、胃脳相関といって、精神的な状態と胃の働きが関連しあうことが言われて注目されています。
お客様から「胃を先に整えるべきか、自律神経を先に整えるべきか」とご質問をいただくこともあります。こうしたお悩みに対しては、私はまず胃を整える漢方を選ぶ、又は最初から両方に働きかける漢方を選びます。
具体的には松寿仙をはじめ、ササイサン・紫華栄(しかろん)や四逆散、逍遥散(しょうようさん)、藿香正気散(かっこうしょうきさん)といった漢方薬や自然薬(自然の恵みを用いた薬)をご提案しています。
「今のままではもっと体調が悪くなるのでは…」と不安を抱えている方もおられます。その中でも、漢方を飲みながらご自身の体と向き合い、少しずつ変化を感じていただくことで、「何とかなりそう」と前向きになっていく方が多いです。そうした気持ちの変化こそ、回復への第一歩と感じています。(岡北)
【ブログ】初夏~夏を快適に過ごすセルフケア
気温が上がると汗をかいたり喉が渇いたりするので、水分補給の機会が増えます。冷たい飲み物を避け、のどを潤すことを意識して一口ずつ摂取しましょう。お腹を冷やさないことが、夏を元気に過ごすポイントです。初夏から夏、秋へ、季節は途切れることなくつながっています。現在の養生(セルフケア)が、次の季節を快適に過ごすための鍵となります。
また、1日の中で寒暖差が大きいため、体温調節のしやすい服装でお出かけしましょう。薄着を避け、体の保温を心がけることが大切です。下半身の冷えは腸の働きに影響を与え、下痢や慢性的な便秘につながることがあります。夜はなるべく湯船に浸かり、体を温め、血流も良くして1日を締めくくりましょう。
【コラム】 お客様と当店のスタッフ
漢方のけやき堂薬局は、2006年の開業以来、お客様に支えられ、18年以上の年月を歩んでまいりました。開業当初からお越しいただいているお客様や、3世代にわたってご利用のご家族もいらっしゃり、心から感謝申し上げます。
現在一緒に働いている女性スタッフは、複数在籍しておりますが、皆10.5年以上の勤務経験があり、お客様と共に長い時間を過ごしています。
当店の特徴の一つは、通販メーカーや一般的なドラッグストアでは取り扱っていない、漢方専門ならではのお薬、商品をご用意している点です。そのため、「この漢方が欲しい」と指名して来店されるお客様も多くいらっしゃいます。
もちろん、「この薬を飲めば100%治る」というものはありませんが、多くの選択肢の中から「自分の体に合っている」とお感じのお薬を求めてくださり、リピートしていただいている方もいらっしゃいます。
また、年齢とともに体の様子が変化することがあります。妊活、健康寿命を延ばしたいなどというご希望や目標に応じて、カウンセリングにてお薬の見直しを行っています。漢方の中でも滋養強壮に役立つ薬や食品は継続して服用できる安全性の高さと、有効性が魅力です。不易流行で改良が進んでいる商品もあります。
私たちは、ニュースレターで最新情報や、一番お伝えしたい内容を発信しています。また、LINEでは月に1回程度、ニュースレターの概要や異なる視点からの情報を発信しています。
これからもお客様の健康と笑顔を支える存在であるよう努力してまいります。
2025年4月吉日 岡北
春の過ごし方 冬に溜めた老廃物を出す
春は中国医学で「肝(かん)」の季節とされ、体内のデトックス(老廃物を出すこと)が自然と促進される時期です。五行学説では、春は「木」に属し、「肝」と特に深いつながりがあります。「肝」は気血の巡りを助け、毒素の排出をサポートする働きがあると考えられています。
※ 五行学説については、こちら→ (前回の記事)中国医学と五行(ごぎょう)
春は、「肝」をケアすることで、心身のバランスを整えるのが中医学の知恵です。
■食生活: 「肝」の働きを助ける食べ物:香りのよいもの。解毒を助けるもの。胃腸の働きを良くするもの。いずれも旬にとれるものが良いです。
〇香りの良い食材 セロリ、みつば、パセリ、春菊、かんきつ類 など
〇疲れやすい、胃腸が弱いなど「気虚(ききょ)」にお勧めの食材 消化の良い鶏肉や鯛など
〇「肝」に働きかけ、解毒代謝を促進する食材 セロリ、ほうれんそう、ゴボウ、ウド、タケノコなど
■リラックス: ストレスは「肝」に負担をかけるため、自然散策や歌を歌うことなどで気を巡らせる時間を作りましょう。
■適度な運動: 軽いストレッチやウォーキングで身体を動かすことで、気血(きけつ:元気の気と、養分を含む血液)の流れがスムーズになります。
この機会に心身の「デトックス」を意識してみてはいかがでしょうか?(岡北)
中国医学と五行(ごぎょう)
中国に古くから伝わる考え方、哲学の一つに、五行学説があります。
五行学説は、宇宙に存在するすべての事物・事象を「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)」の五つの要素に分類し、それらの相互関係を通じて解釈する理論です。この学説は、臓腑(内臓)の働きや病理(病気の原因)の解釈にも応用され、人体のバランスを理解する上で重要な役割を果たします。例えば、五行(木・火・土・金・水)は五臓「肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)」や五季(春・夏・梅雨、季節のはざま・秋・冬)に対応し、それぞれが相生(助け合う)や相克(抑制し合う)という関係で結びついています。
この五行学説は古代中国の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」に記され、中国医学(漢方医学)の基礎として現在も使われています。
五行という言葉になじみがなくても、「五臓六腑(ごぞうろっぷ)にしみわたる」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。例えば、冷たいビールを一口飲んで「ああ、五臓六腑にしみわたる!」と声を上げる人もいますよね。この言葉は、五行の五臓に由来していると言われています。おいしい飲み物や食べ物を口にした際に、その感動が内臓全体、そして全身に染み渡るような感覚を表現しています。
五行学説で、宇宙に存在するすべての事物・事象を説明するということに、理屈っぽく、こじつけに感じる人もいると思います。しかし中国医学を理解する上では、五行説は基礎となりますし、紀元前の昔に考えられているのに、体系的、かつ理論的にまとめられています。黄帝内経を著した古代の中国の作者に、頭が下がる思いです。(岡北)