けやきのすくすくブログ
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食後に眠気・倦怠感があらわれる原因と対策

 普段の生活を送っていて、食後に眠い、食後に強い疲労と倦怠感に襲われる、そして眠気が強く仕事や家事に支障をきたして困っているという話をお客様から多く伺います。

このことは主訴が胃腸の不調な方(逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群等)に限らず、日ごろから疲れやすい方、子宝希望の方、アレルギーのある方などからも伺うことが多い項目です。

 今回は、どのような時に症状が現れやすいのか、そしてその対策を西洋医学的観点と、漢方医学的観点からみて考えられることを挙げます。

 食後に眠くなる原因として3つのことが挙げられます。まず1番目は、食後に血糖値が急上昇していること(食べ過ぎ、又は早食いが原因)、2番目は睡眠で疲労が回復出来ていない、又は睡眠不足の状態、3番目は脾(胃腸)が弱っていることです。当店に見えるお客様で多いのが、2番目と3番目です。

 まず1番目の原因の食後の血糖値が急上昇することについては、最も一般的に言われていることです。炭水化物(米、パン、めん類、いも類)を一食のうちにたくさん食べると、血糖値が急上昇します。すると膵臓から大量のインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖が回収されます(インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むように働きかける役割があります)。その結果、今度は低血糖になり、眠気や倦怠感を感じやすくなると言われています。

対策として食事時に【野菜→たんぱく質→炭水化物】の順でしっかり噛んで食べること、特に野菜を5-10分かけて出来るだけゆっくり食べることです。そして一食で摂る炭水化物の量を控えめにして食べることで血糖値の急上昇を防ぐことができます。その結果、食後の眠気が起こりにくくなります。さらに余力のある方は、食後30分~1時間に歩くようにしましょう。頭の中がすっきりとクリアになりますよ。

 2番目の場合、睡眠不足になっていて、気(元気の素となる気、エネルギー)が不足している状態(気虚)です。もともと気が不足している上に、さらに消化・吸収で気が消費され睡眠で気を補うよう体へ働きかけられるため、食後に眠気が現れます。

この場合の対策法として、質の良い睡眠を充分に摂ることが最も大切です。質の良い睡眠を得るための心がけや方法は、これまでの当薬局ブログ内で繰り返しお伝えしています。

少なくとも質の良い睡眠を得るために守ってほしい養生法(セルフケア)は、3つあります。①起床後ふとんから出たら、天気に関わらず朝の光を浴びること、②入浴後~就寝前にかけてスマートフォンやパソコンなど明るい光を見ないようにすること、③風呂は熱すぎない湯に浸かり、湯冷めをしないうちに床に就くことです(入浴後、少しクールダウンをした方が良いです)。

中には仕事からの帰宅の遅い方や育児中の方もいらっしゃいます。私(岡北)の経験上、夜遅くまで片付けものをすることより、疲れをとって翌日以降の仕事や家事の効率を上げるために、早くふとんに入って寝ることをお勧めします。

 3番目は、脾(胃腸)の働きが弱っている場合です。2番目と少し重なり、気が不足しやすい状態にあります。脾の弱さはもともと子供時代からの体質であることの他、脾の嫌がる食事が続いた時、過労や心労の続いた時に現れます。

(詳しくは:当薬局ブログ (リンク)→腸を元気にする食べ物と、気をつけるべき点 )

対策法として、例えば日頃少食の方でも腹八分の食事量にすること、また外食で定食などを注文したら一人前全量を食べないように取り組みましょう。

また、「体力をつけるためだ」と言ってカレーライスや唐揚げなど脂っこいものや、腹十分、十二分の食事を続けていると、いつまでたっても疲れやすく、脾の働きの改善が見えてきません。1回量の食事量を他の人と比較するのではなく、自分にとって多いか少ないかを判断基準にします。脾の働きを整えていくことで、もともと脾の弱い方も、食後に眠くならなくなります。多少の油物や消化の悪い食べ物でも食べることが出来るようになります。

以上です。

 
2番目と3番目の場合は、漢方で改善を助けることが可能です。当店では個別に選薬のためのカウンセリングを伺っています。希望される方は、まず電話でご予約下さい。

参考:食べる順番変えるだけダイエット 梶山靜夫(著)、養命酒ホームページ 2019.11.21、スタンフォード式最高の睡眠 西野精治(著)、わかる中医学 邱紅梅(著)

2022年1月4日

腸を元気にする食べ物と、気をつけるべき点

 腸を元気にする食生活にするには、どのようなことに気を付けたほうが良いですか?また、どんな食べ物を摂ると良いのでしょうか?というお問合せをお客様からよく頂戴します。西洋医学的観点と、漢方医学的観点からみて言えることを書きます。

 まず、腸を元気にすると良い理由は、腸は、体の中で最大の免疫器官だからです。腸に全身の免疫細胞の70%が集中していると言われています。腸で働く免疫機能のことを「腸管免疫」と呼びます。口や鼻から入ってきた病原菌、ウイルスなどの異物は胃酸で死滅されるものがありますが、一方胃酸で死滅されなかった異物は、小腸に運ばれた後、腸壁にある「パイエル板」に集められ、取り込まれます。「パイエル板」はリンパの親玉というべき巨大基地になっていて、いろいろな免疫細胞(樹状細胞、B細胞、T細胞、マクロファージなど)が集まっています。免疫細胞がこれらの異物を「体に有害なもの」と認識すると、免疫物質(IgA)を出して退治してしまいます。

 腸内環境が良いと、免疫細胞が「体に有害なもの」と見分ける精度が良くなります。一方で腸内環境が悪いと、異物を有害なものであるかどうかの見分けがつかず、免疫の低下による病気やアレルギーの症状などが現れます。免疫細胞が異物を「体にとって悪いもの」だと見分ける目を鍛え、精度を上げるには、腸内環境を良くすることです(参考:書籍 乳酸菌力 後藤利夫(著)、ビオフェルミン製薬ホームページ「腸内フローラと腸管免疫の関係」、花王ホームページ「免疫力向上と食品-腸管の重要性-」)。

 漢方医学の面から見て、「小腸」は、五臓の中の、「脾(ひ)」に属します。漢方医学の五臓(肝・心・肺・脾・腎)と、西洋医学でいっている臓器は、位置関係が必ずしも一致するわけではありません。機能・作用の共通する点は多くあります。例えば、西洋医学でいう腎臓は主に水分代謝や血圧の調節、ビタミンDの活性化、造血ホルモンの分泌に働きますが、漢方医学で指す「腎」は、水分代謝以外に、性ホルモンの働き、耳の機能、骨・毛髪など生殖機能や、老化現象などに広くかかわりがあります。

 脾は、(西洋医学で言う)胃・小腸と似た働きがあり、食べ物を消化・吸収をします。そして消化した栄養物をほかの臓器・器官へ運搬します。運搬された後、気(元気の源となるもの)、血(けつ)など体にとって必要な物質に作りかえられます。

ですから、脾が元気に働いていなければ、血虚(貧血傾向)になったり、元気を作り出すことができなくなったりするので、疲れや、風邪をひきやすい、情緒が不安定になりやすいといった傾向があります。

 子供の頃からの体質で、成人後も脾の弱い方がいます。それ以外に私のカウンセリングでの経験上、過労、心労、脾の嫌がる食事(※)が続いた場合に、脾が極端に弱るようです。

 脾が元気になる飲食物は、温かいもの(体温よりも温かいもの)、消化の良いもの・甘いもの(米、イモ類、はちみつなど)です。

 反対に、(※)脾の嫌がる飲食物は、冷たいもの(生野菜、野菜・果物ジュース)や、消化の悪い食べ物です。特に油っこいもの、暴飲暴食、甘いものの過食、辛いもの(唐辛子、胡椒などの刺激物)の過食で脾が弱ります。

ですから、1日3回の食事で胃もたれのする場合は、食べる時間が来ても胃腸を休めるため、食事の回数を減らしましょう。また少食な方は、1回の食事量を少なくして空腹になったら食べる、分食(1日4食)にして良いです。

 発酵食品について。手軽に用意できてお勧めのものは、味噌、ぬか漬けです。味噌やぬか漬けには乳酸菌が含まれています。私(岡北)は、朝食に温かい味噌汁を食べることを推奨しています。ただし、味噌に含まれている乳酸菌は熱に弱いので、具を入れた汁が出来てから最後に味噌を入れます。味噌を入れた後は、沸騰をさせないようにするのがベストと思います。

参考:書籍 乳酸菌力 後藤利夫(著)、ビオフェルミン製薬ホームページ「腸内フローラと腸管免疫の関係」、花王ホームページ「免疫力向上と食品-腸管の重要性-」、わかる中医学入門 邱紅梅(著)、中医学入門 神戸中医学研究会(編著)

2021年12月14日

漢方医学的観点から見た、ワクチン接種後の過ごし方

 今回は、漢方医学的な観点から見た、ワクチン接種後の過ごし方をテーマにして書いていきます。

 すでにご存知の方が多いでしょうが、新型コロナワクチン接種の2回目接種率が70%以上を達成しているそうです。我が国では、新型コロナワクチンに、「重症化防止」、「感染予防」、「発症予防」が期待され、集団接種がスタートしました。また集団免疫の形成も期待されていましたが、はっきりとした成果は出ていないようです。
 集団免疫とは、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなる状態のことです。厚生労働省によると、「新型コロナワクチンで集団免疫を得られるかどうかは不明」とホームページに書かれていました。
 
 私たち一人ひとりが心がけたいことは、まず体を整え、免疫がスムーズに働くようにすることです。
ワクチンを接種済の場合は新型コロナウイルスが体内に入ってきた時に、ワクチンで得たウイルスの情報をもとに、体で異物(ウイルス)を識別する免疫力を持っておくこと、さらに異物と早く強く闘える能力を養うことです。

 ワクチン未接種の場合は、自身が生まれついて持っている免疫と、生後、病原微生物と闘ってきた免疫の記憶で、体に入ってきた異物を見分けて闘えるように体を整えておくことでしょう。

 漢方医学では、昔から「心身一如」という言葉があり、精神と肉体は一つで、分けることはできないという考え方をします。体を整えるための基本は、質の良い睡眠をとること、バランスの良い食事を摂ること、快便であること、体を冷やさないこと、血流を良くすること、適度に運動をすることなどです。

 精神面では恐怖心や強い不安を持つことよりも、気持ちを明るく、しなやかに、前向きにした方が健康を保て、免疫力を発揮しやすくなることが分かってきています。恐怖心や不安感の強い方は、まずご自身の体が整っているかどうかを点検してください。体調が優れず、気持ちも沈みやすいのであれば、まず、体を立て直すところから始められるとよいでしょう。

 また自分の許容範囲を超える過労も、体調を崩す要因となります。以前、当店にカウンセリングにお越しになられた、自営業の60代女性で、仕事が忙しく難聴になった方がいらっしゃいました。難聴で耳鼻科に受診中ですが、「眠れるようにしたい、疲れをとりたい」と希望されていました。普段は明るい性格をしてさっぱりとしているそうですが、そのうち夜中に物音が少ししただけで目が覚めるようになり、フォローのカウンセリングに来店された時には「難聴であることを気にしないようにしている。いったいいつになったらしっかり眠れるのだろう。」と涙を流しておられました。約2か月間漢方と生活養生を実践されていくうちに熟睡できるようになり、疲れも取れてきたそうです。次第に自力で眠れるようになりました。最終のフォローのカウンセリングで来店された時、「今後は、自分の許容範囲内で働きます」と力強くおっしゃっていました。

 「睡眠の教科書 別冊 ニュートン増補第2版」によると昔から「寝る子は育つ」といわれますが、これは科学的に正しいことが分かっているそうです。
 睡眠後、最初に現れるノンレム睡眠とほぼ同時に大量に、脳下垂体という部位から「成長ホルモン」が分泌されます。ノンレム睡眠とは、睡眠中に眼球の運動のない、深い眠りのことです。
 成長ホルモンは、その名の通り、子供の成長に大切な役目をします。特に子供の骨の伸長や筋肉の増大、けがの治癒などが成長ホルモンによって促進されます。健やかな成長には深い睡眠が欠かせません。
 成人にとっても「成長ホルモン」は重要で、成人の疲労回復や新陳代謝を促進する役目があります。
  
 まさに睡眠そのものが「薬」です。子供も大人もしっかりと寝たいものです。

参考書籍
 厚生労働省ホームページ
 病気にならない生き方 安保徹(著)
 漢方で健康美人になる20の方法 木村洋子(著)
 睡眠の教科書 別冊 ニュートン増補第2版

2021年11月8日

風邪のひき始めには、すぐ漢方薬で手当てをする

 秋から冬に向けて気温が急に下がると、風邪をひきやすくなる人がいます。風邪の対応は、ひき始めの半日から1日が勝負です。この期間に治すつもりで、手当てに専念してください。

 背中がゾクゾクする、着込んでも寒さがとれない時は、寒気して風邪をひき始めているのかもしれません。頭痛・関節痛の場合もあります。ひいたかなと思ったらすぐ30分以内に風治散(ふうじさん) 1包と、紫華栄(しかろん) 1-2包を飲む(白湯に溶かして、まだ温かいうちに飲むのが一番効きます。熱湯で溶かしても可)ことをお勧めします。3時間おきに1日3回(食前、食後に関わらず飲んで可)飲むと、寒気が半日から1日で取れます。
そして、早めに就寝しましょう。

 「風治散」の処方構成は、葛根湯(かっこんとう)と同じです。風治散の製法(生薬の抽出方法)にこだわりがあるため、けやき堂薬局では葛根湯ではなく、敢えて「風治散」と呼んでいます。風治散では最新の技術を用い、じっくり有効成分を引きだしています。お湯で生薬を煮だしている時に、揮発成分が飛んでいかないよう、揮散を抑えています。また、原料生薬以外に、賦形剤(抽出後、粉末にするときに、つなぎとして使うもの)は、デンプンのみ使用しています。そのため「香りの良さ」「口に含むとすぐに溶ける溶解性の良さ」が特徴です。当店では常連のお客様が、常備薬として風治散を指名して購入に見えています。

 「紫華栄(しかろん)」は、風治散と同じ、和漢薬研究所(群馬県に工場があります)で作られています。生薬8種類で構成されている、和漢薬研究所オリジナル処方です。滋養強壮作用に優れています。1992年から販売開始され今年で30年になるそうです。安全性と有効性に優れたお薬です。家庭の常備薬としてお勧めです。家族にも飲ませています。

 
 風邪をひいた時、何のウイルス・細菌が原因なのか、一般的には調べることがありません。それだからこそ、早めに治すことが大事だと考えています。これは私(岡北)の意見ですが、風邪のひき始めの根本治療に限って申し上げると、炎症止めを飲むことよりも、漢方薬を飲んだ方が治す力として優れています。適切な時期に、症状に合った使い方をすれば、自分自身で治すことができます。したがって漢方薬は風邪のひき始めのセルフケアに優れています。
 
 その一方で、風邪は一旦こじらせてしまうと、漢方薬だけでは治りにくくなる場合があります。西洋薬の力を借りる必要が出てくる場面もあります。改善するのに時間(日数)がかかります。だから、ひき始めの手当てがとても大切です。

 

2021年10月4日

接種前に体調を万全に整える

 新型コロナワクチン接種について、最近は働き盛り年代の方からも相談を受けます。半年前と比べると、ワクチンの効果やその副反応について分かってきています。「接種前は体調を万全に整えることを優先させ、まず睡眠を充分にとって睡眠不足にならないようにして下さい」と答えています。
 
 ワクチンの有効性については、免疫学の専門家の間でさまざまな意見が述べられています。中立的な視点で、大阪大学免疫学フロンティア研究センター(医学博士) 宮坂昌之 招へい教授 が書籍『「新型コロナワクチン本当の「真実」』を著し、講談社現代新書から8月に出版されています。新聞広告に案内が出ていたので、すでにお読みの方もいらっしゃるかもしれません。私は『新型コロナウイルスの情報リテラシー』の章に特に関心を持って読みました。煽り報道に惑わされないようにするための、専門家から見た意見・考え方、読み手へのアドバイス、情報を受け取った時の指針が参考になりました。

 私の尊敬する薬剤師の一人に、自らも漢方専門薬局を運営し、全国の薬局・薬店に長年漢方の啓蒙に務めていた、故 寺田頴子先生がいます。その寺田先生は「治癒は患者一人一人の体がもっているもの、一人一人の人をつくっているものにゆだねるべきである。しかし患者自身に自分自身の病気のことを研究させることは大切である。患者自身が納得して治さなくてはいけないという意識をもって薬をのまなくては治らない。これが自然治癒力を回復する道である」という言葉を残しています。

 やや厳しめの言葉ですが、自身の自然治癒力を回復するために自分のリズムに合う食事や生活を送大切です。また、過度にストレスをためていると、睡眠の質の低下や食欲不振、その他のお腹の不調になりやすく、自然治癒力・免疫力が働きにくくなります。

 ご自身の体に合わせた生活や食事を知りたい方で漢方を試したい方は、当薬局の選薬のためのカウンセリングをお受けになることをお勧めします(要予約)。

2021年9月14日

マスク肌荒れに用いている漢方薬

 新型コロナウイルスの流行を迎えてから2回目の夏を迎えました。

 マスクをつけた状態で社会生活を送るため、肌のデリケートな方は、顔の覆っている部分が呼吸や体温で熱がこもって荒れたり、擦れや汗でかゆみを起こしたりしやすくなっています。

一般的には不織布マスクは、布製のものと比べると、ウイルス感染を起こしにくいといわれていますね。とはいえ、不織布マスクは、布製よりも通気性が悪いのでマスク内の温度が上がったり、蒸れたりしやすいだろうと思います。

私(岡北)は、仕事の時は不織布のマスク、プライベート時には布マスクを付けて、ONとOFF時で使い分けをしています。
マスク肌荒れをしている方は、布マスクを付けていてもかぶれやすくなっているようです。

 マスク肌荒れの場合も、一般的な皮膚炎と大きな区別をせず漢方の選薬しています。肌荒れを起こしている背景をに着目しています(体質の把握も含めて)。

ヒリヒリやゴワゴワ、熱をもっている、かゆみが強いといった炎症を起こしている場合は、患部の熱を冷ます漢方薬(桔梗石膏など)を使用します。肌のほてりや乾燥によるかゆみのある場合には、腎陰(じんいん)を補う漢方薬(六味丸ベースのもの)で潤すようにします。また、もともと乾燥肌で血虚(けっきょ)体質の方(手足が冷えやすい、髪がパサつく、ツヤがなく抜け毛が多い、爪が薄くて割れやすいなど)には、体質改善目的で血(けつ)を補う漢方薬(四物湯ベースのもの:エッキ錠、婦人宝など)を用いて実際に改善へつなげています。
そして、質の良い睡眠や保湿などのスキンケアや、食事の改善にも取り組んでいただいています。

症例
 20代女性 やせ型、デリケート肌、頭皮、ほお、首に赤みあり。
顔の肌荒れのため半年以上病院に受診。
来店時はマスク内の肌の赤み(ほお)が目立っていました。
漢方薬(炎症をとる石膏の入っているもの、又は腎陰を補うもの、お血をとるもの)を体質・症状に合わせて組み合わせ、7-14日分ずつお出ししました。また食事改善(朝食にお味噌汁をとる、食物繊維をしっかりとる)を実践していただきました。
2か月経過後、赤みが和らぎ、肌のゴワゴワや擦れが目立たなくなってきました。
現在、体質改善をする目的で、四物湯ベースの漢方薬を服用されています。

2021年7月9日

梅雨から夏にかけての過ごし方・食べ物「体の除湿をする」

 ご存知の通り日本の夏は、高温多湿です。梅雨から夏にかけて、元気に過ごしてゆくためには、体に湿をためないことと同時に、部屋の除湿を心がけることです。

 漢方医学(中国医学)において、その土地に住む人々の体質に気温や湿度、生活習慣が影響を与えていると考えています。日本に在住歴の長い、中医師の邱紅梅先生は、著書「わかる中医学」の中で、「島国の日本では湿度が高い(湿邪におかされやすい;湿邪とは季節や環境によりもたらされた水の代謝異常のこと)。一方、中国では、内陸性の気候のため、乾燥し湿度が低い。」と記しています。

 体に湿が溜まると、雨の日や湿気の多い日に悪化する傾向があります。湿によりまず基本的に胃腸の働きが弱まります。食欲不振や腹部膨満感、泥状~水様便などが現れやすいです。漢方医学からみて胃腸は消化吸収に関わります。そして栄養の吸収や気力を維持する働きがあります。ですから、梅雨から夏にかけて日常生活の中で胃腸をしっかりケア(養生や手当て)していただきたいです。

 簡単に取り組みの可能なケアの方法として、次の2つがあります(守りの方法として)。
冷たい飲食物を可能な限り避けて、食べ物をよく噛み砕いて食べることです。②そして、入浴ではシャワーではなく湯船に浸かることです。体を温めるだけではなく、湯船に浸かることで体に水圧がかかるため、血行も良くなります。上の2つは一見、当たり前のようなことですが、湿を溜めないようにするために最初に抑えていただきたいポイントです。継続して取り組みましょう。

 上記とは反対に湿をためてしまう(悪化させる)要素は次の3つです。まず(1)寝不足・過労です(生命のエネルギーの源であり、水の代謝を司る「腎」のエネルギーを消耗させるため)。次に(2)冷たい飲食物をたくさん摂ることです。日中から晩にかけて気温が上がってきたので、冷たい飲み物を飲みたくなってしまいますが、摂り過ぎると消化や吸収などの胃腸の働きに負担をかけたり、妨げたりします。そして(3)水やお茶(飲み物の温度に関係なく)をのどの乾かないうちからガブガブと飲むことです。のどが乾いてきたら、冷たくない水をチビチビ飲みすることをお勧めします。

実際にカウンセリングでお話を伺っていると、例えば、無意識のうちに300ml入りのコップいっぱいに注いだ飲み物を一気に飲み干すとおっしゃる方がいます。習慣になっていると、自分では過剰に飲んでいることにと気が付かないことがあります。特に一日の大半を室内で家事仕事をしたり、デスクワークをしたりして肉体に負荷の少ない労働をしている場合は、口が乾いてきたらチビチビ飲みをすることをお勧めです。

 その一方で、「お水は1日2リットルくらい飲んだほうがよいのでは?」と質問をされることがあります。「筋肉質で汗かきの方や、たくさん運動をして汗をかいている場合は、しっかり水をのんだほうがよいです。ケースバイケースです。」とお答えしています。

 梅雨~夏にかけてお勧めの食べ物は、ソラマメ、さやいんげん、はとむぎ、小豆、すもも、とうもろこしです。これらは「湿」を取り除き、水分代謝を良くする食材です。

これらとは反対に、体内の津液(体内の生理的な水、組織や細胞を構成する水)を守る食材もあります。梅、さくらんぼ、桃などです。軽めの酸味のある食材は汗のかきすぎを防ぎ、津液を守ります。気温や湿度に合わせてとるとよいでしょう。

 漢方を利用すると、積極的に湿を改善したり、津液を守ったりすることなどが出来ます。その結果、症状の改善や日常生活の質を高めることが可能です。

 

 けやき堂薬局では、カウンセリング時に個別に生活背景を詳しく伺っています。カウンセリングは、選薬のためのものです。漢方をご提案するとともに、ケア(養生・手当て)の方法もお伝えしています。お気軽にご相談ください。

※カウンセリングは、ご予約制です。大変ご面倒をおかけしますが、必ず電話か来店にて予約の上で、カウンセリングにお越しくださいますようお願いいたします。

参考書籍 わかる中医学 邱紅梅(著) 
     NHKきょうの健康2016.6
     薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖 喩静・植木もも子(監修)

2021年6月3日

寒暖差疲労への手当て

 気温の変動や室内外の温度差が大きな環境にいると、体温を常に同じに維持しようと自律神経が働くので、疲労が蓄積しやすくなります(寒暖差疲労)。さらに、気温差が7℃以上差がある環境にいることで、体の冷えを強く感じたり、首・肩こり、めまい、だるさ、気力の減退などの様々な症状が現れてくるそうです(参考書籍 最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方 久手堅司(著))。

 実際、お客様への私(岡北)のカウンセリングの経験から、体調の不安定な時ほど、気温差や天候の変化を体で感じて不調を訴えてこられるケースが多々あります。興味深いことに、体調が安定して良い状態であると、同じ人でも気温差や天候の影響を感じない、とも言われます。

 5月に入り、気温は穏やかで過ごしやすくなりましたが、日が暮れるとまだ肌寒いです。(本日5/1、日中の最高気温は25℃、夕方6時の気温は18℃で、日中と夕方では7℃の気温差)。

 「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」を書いた久手堅司氏によると、1年を通して冷え症対策を行うことが根本的な改善策になると書かれています。

 これから夏に向かいますので、毎年エアコンの冷気で体調を崩す方は、冷え対策を行うことをお勧めします。
そして1日の終わりは、ゆっくりとお風呂の湯船に浸かって体を温めましょう。湯船に浸かることが困難な方は、足湯15分するだけでも、体の冷えが解消されるので、ぜひ取り組んでいただきたいです。

2021年5月1日

ワクチンの役割について

 3月14日(日)に、自然薬研究会のオンライン講演会がありました。演題「新型コロナウイルス感染と免疫:ワクチン理解の為に」で、講師は宮澤 正顯先生(みやざわ まさあき:近畿大学医学部 免疫学教室主任教授)でした。宮澤先生は、ウイルス感染防御に役立つ、免疫細胞(メモリーT細胞の反応)の研究をしています。今回、約2時間にわたりお話くださいました。

 一般的にワクチン接種が推奨される理由は、「免疫細胞であるTリンパ球(白血球の一部)を活性化させることが目的です。但し、ワクチンを接種したとしても、免疫細胞(Tリンパ球)が活性化しなければ体内でウイルスの増殖を防ぐのに効果はありません。」と話されていたことが印象的でした。ウイルスが増殖したときに、ゆっくりと活性化したTリンパ球が感染した大量の細胞(肺胞など)を排除に働くことが重症化する原因とのことでした。

 その一方で鼻風邪コロナウイルス(従来から存在するウイルスで、重症化しにくいもの)に対する交差反応で、新型コロナウイルス抗原に反応するTリンパ球を健常人(新型コロナウイルスに感染した人だけでなく)検出可能と、海外医学誌の論文を紹介されました(Grifoni et al. Cell、181:1489-1501,2020)。

 以下は、あくまでも 私(岡北)の意見ですが、ワクチンを接種しない選択をする場合は、ウイルスが体内に入った時、自分の免疫細胞(Tリンパ球)を円滑に活性化できるかどうかが大切です。

 ワクチン接種する場合と、しない場合、共通していえることは、健康な時から免疫細胞が活性化し働くように備えておくことです。そのためには、充分な睡眠、バランスのとれた食事、もう一つの免疫のが働く器官である腸を整えること(快便にする)、運動が大切です。強い不安感や継続するイライラも睡眠の質を下げ、疲労感を蓄積させます(その結果、体力を消耗します)。基本に立ち返り毎日を過ごしてゆきたいです。

2021年4月9日

睡眠の質を上げるためにお勧めの漢方・生活習慣

 肉体疲労や精神疲労をとるのに、充分な睡眠が大切なことをご存知の方は多いと思います。

 健康に関する書籍だけでなくビジネス書にもたくさん取り上げられていますね。書籍では「スタンフォード式最高の睡眠 西野精治(著)」、「睡眠こそ最強の解決策である マシュー・ウオーカー(著)」などあります。良い眠りは心と体の健康を維持したり、日中の生活の質を向上させたりすることに必要なものです。

 睡眠をとることで、体の疲れをとること以外に、脳では起きている間に入ってきた情報を整理して取捨選択したり、記憶を定着させたりします。睡眠が充分にとれていなければ、記憶力や集中力が低下して実力を発揮できなかったり、マイナス思考になったりします。反対に、質の良い睡眠がとれていると、日中の家事や仕事、学習がはかどります。

 睡眠剤を飲むと、翌日に眠気を持ち越すことがあります。最初のうちは睡眠をとれているように感じていても、長期で継続して飲んでいくうちに疲労感が抜けなくなることもあるようです。新薬を否定はしませんが、眠れるように環境整備や生活習慣の見直しがまず必要だと私は考えています。

 漢方を服用した場合は、成分が体に残ることがありません。症状が軽く、気が高ぶる場合は、寝る前に紫華栄・ササイサンを各1包飲むと、翌朝の目覚めが良くなります。体力が低下している時の不眠に酸棗仁湯(さんそうにんとう)、とり越し苦労のある不眠には温胆湯(うんたんとう)、更年期のホルモンバランスの低下に加味逍遙散(かみしょうようさん)や芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)などを使い分けます。寝ても寝た気がせず、慢性的に疲労が続いている場合は、ワタナベオイスターDHMBA(ディーバ 特許取得・機能性表示食品)を用いるとよい結果が出ることもあります。

 ご高齢場合、年齢を重ねるうちに、睡眠に導くホルモン(メラトニン)の分泌量が減るので、中途覚醒が起こりやすくなります。その上、子育てや仕事から引退して運動量が減ると思うように眠れないことがあるかもしれません。多少、寝足りないように感じていても、昼間に家事や用事を支障なく出来ている、または昼寝やうたた寝(目安として20分程度)をして、頭がすっきりする程度であれば、問題ありません。

 その一方で、子供や若い世代の夜型化による、不眠が増えているそうです(NHKきょうの健康2021年3月号)。寝る直前まで、スマートフォンやパソコンを熱中して見ていることが夜型になる一因だそうです。

きょうの健康で「子どもの睡眠障害」の記事を担当した井上雄一医師(東京医科大学教授)によると、若い世代の不眠を解消する方法として、以下の3つが挙げられています。

(1)午前中の光をたっぷりと浴びること、(2)昼間は体を動かすこと、(3)夜は明るい光を避けることです。

(1)-(3)を取り組むことで体内時計が整うと書かれています。スマートフォンなどの液晶画面から出る光に含まれる「ブルーライト」は、睡眠に導くホルモン「メラトニン」の分泌をかなり抑え込んでしまうそうです。子供の場合は、大人よりも瞳孔が大きく、光をより多く目の中に取り込んでしまうため、その影響は大人の2倍ほどあるといわれています(Higuthi S, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2014)。上に挙げた(1)-(3)を4週間続けることで体が慣れてくる、と書かれていました。

 これまで当薬局でカウンセリングさせていただいてきた経験でも、不眠や疲れが抜けない方に対してスマートフォンなど明るい画面を睡眠直前まで見ていた場合に、入浴後は見ないように変えてもらったことで、大人の半数以上の方の睡眠の質が良くなっています。

最初のうちは習慣を変えるのに、精神的にきついかもしれませんが、お困りの場合や今より良くしたいのであれば、取り組むだけの価値はあるのでぜひ参考にしてください。
(NHKきょうの健康2021年3月号では“就寝時刻の2時間前から液晶画面を見ないようにしよう”と書かれています。念のためお伝えしておきます。)

2021年3月13日