けやきのすくすくブログ
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風邪の予防と、ひき始めの対応について(自然薬・漢方薬)

 風邪などの感染症について、体の外からやってくる病気や不調の原因のことを「外邪(がいじゃ)」といいます。外邪は、異物(微生物など)、気温や湿度の変化(寒さ、暑さ、空気の乾燥、湿気 等)を言います。

 当然のことながら、本来は体の免疫力・防御力が備わっていれば、風邪をひかないのですが、備えがなければ風邪をひいてしまいます。すぐ近くにウイルスや細菌があり、それらが身体に取り込まれると感染してしまうことがあります。風邪などの感染症を発症するか無症状なままでいれるのかは、個人の体の事情によります。

 元気な時は、皮膚の表面近くで、バリアの役目をするスリットのような「腠理(そうり)」が体の外への汗の通り道として開けたり閉じたりしています。普段は、体に備わっている防御役の「衛気(えき)」の働きで汗をかいて熱を逃し、外邪の侵入を防いでいます。そして外邪が体に侵入しようとすると、衛気が体表面に集まって外邪を体外へ追い出します。そうすることで病気にならずにすみます。しかし、排除できなければ、病気になってしまいます。

 体表で衛気と、外邪が闘う時に、悪寒(寒気)が現れます。衛気と外邪が闘う時に、衛気が次々と表層に集まってくると発熱します。
 その一方で、外邪を外へ追い出せないでいると、外邪の侵入場所である頭部、背部、関節に腫れや充満感などをつくります。

 仙頭クリニック院長 仙頭正四郎 医師は、著書「漢方で免疫力をつける」で、感染症に罹患する順序や、その予防法について紹介しています。

免疫力を育てる作戦として
● 早寝で夜間に十分な睡眠時間をとること
● 少しでも具合悪く感じたら、何を差しおいてでもたくさん寝る
● 自分が動いて汗をかく
● 大声で笑う
● 冷やさない(薄着と冷飲食を避ける)
● 空腹に合わせた食事
● 陰気は捨て、ウキウキ・ワクワク陽気に過ごす
● 「明るく、軽く、楽しく、歩く(動く)」という生活をする
ことなど合わせて12項目を提唱しています。

 外邪を追い出す(発散する)食べ物は、辛味のあるものや酸味の芳香性のあるものです。ネギ、生姜、コショウ、ワサビ、唐辛子、シナモンなどの薬味や、みかん等です。食べると体を暖かくしたり、じわっと汗をかいたりすることで発散を助けます。生姜湯や葛湯が風邪の時に好まれるのは、このような発散する作用を生かしています。

 
 
風邪のひき始めにおすすめは、自然薬「風治散(ふうじさん 第2類医薬品)」と同じく自然薬の「紫華栄(しかろん 第3類医薬品)」です。寒気が出たときにすぐに(30分以内に)飲みます。お湯に溶いてから温かいうちに飲むと、体を温める作用が増すので、体表面部の外邪や異物を体の外に発散する作用が増します。

 一方で発熱時には漢方薬「柴葛解肌湯(さいかつげきとう 第2類医薬品)」を飲みます。私がお客様にお出しした経験では、発熱してからの早い段階でこのお薬を飲んでいるほうがよく効いています。柴葛解肌湯は、発熱とは別に風邪のひき始めからこじれた風邪(風邪の後期)にかけて飲むことも可能です。

 ここではお勧めのお薬の一部を紹介していますが、実際は風邪の症状や段階に応じて使い分けをします。

 風邪かなと気が付いた段階ですぐに適した漢方を飲むことで、早期回復へと向かいます。進行が早いため、症状が現れた際すぐに取り出して飲めるよう、初期に飲む漢方薬を最低でも3日分ご家庭に常備しておくことをお勧めします。(岡北)

参考書籍
漢方で免疫力をつける  仙頭正四郎(著)
薬膳・漢方  喩静/植木もも子(監修)
問診のすすめ  金子朝彦/邱紅梅(著)

2022年11月10日

運動をする、効果的なタイミングと運動強度

 運動をするタイミングは、一日の中でいつが健康維持に効果的でしょうか?
 私(岡北)が一番お勧めするのは食後1時間の頃です。

 このタイミングで運動をすると、食後の血糖値を抑えることができます。その結果、体の糖化(細胞の炎症、老化を促す原因の一つ)を予防するので、動脈硬化、認知症、アルツハイマー病、骨質が悪くなることなどを防ぐのに良いそうです(参考書籍:「糖化」を防げばあなたは一生老化しない(東海大学医学部抗加齢ドッグ教授 久保明(著))。

 健康な人の血糖値は食後30分から1時間くらいでピークになります(参考:徳島市ホームページ 「糖尿病大作戦」あなたは大丈夫!?食後高血糖)。

 睡眠不足のある人や、日頃胃腸のデリケートな人は、昼食後にだるさや、眠気を感じやすくなります。

 食後1時間で運動のできない場合は、昼食後少したった頃でもよいので、10-15分以上歩きに出かけるなど体を動かしましょう。眠気が現れにくくなります。じっとしているよりも、頭の中がすっきりする感覚を得られるようになりますので、後のお仕事や家事の効率も上がることでしょう。

 そして、冬を迎える前に、毎日歩く習慣をつけておくと、冬の冷え症対策になります。

 冷え症を自覚している方は、少しずつ体の冷えを改善していくことが良いです。漢方医学では、冷え症の治療を夏から始めるのが良いと伝えています。私がカウンセリングをこれまでさせていただいた経験からみても、真冬の厳しい寒さの頃から目いっぱいに改善に努めることよりも、温暖な時期から3-4ヶ月かけてじっくり改善していったほうが、治りがスムーズで冬中を元気に過ごしていくことができます。今からでも遅くありません。お昼休み、帰宅後すぐ、帰宅時や買い物に出かける時、遠まわりをするなどして歩く時間を増やしてみましょう。

 冷え症に効果のある漢方薬もあります。お体に合う漢方薬をご提案します。まずは、初回カウンセリング(選薬のためのカウンセリング)をお受け下さい。希望される方は、けやき堂薬局まで電話又は、メール、LINEで事前にご予約をお願いいたします。

 運動強度について

 健康維持には、いわゆる「にこにこペース」がお勧めです。にこにこと笑顔を保って、じわっと汗ばむ程度で、一定時間継続することのできる運動の強さです。私が運動の話をすると、中には、「毎日ペット(小型犬)の散歩をしています」とおっしゃる方がいます。歩かないよりも良いですが、残念ながらペットの散歩では運動の効果が現れにくいです。

 ヒトの1分間の最高心拍数は、体力に関係なく「220-年齢」の式で計算することが出来ます。ここで得られる数字が、100%の運動強度(推測の値)です。

 にこにこペースは、この半分の50%の運動強度に相当します。
 50%の運動強度で心臓から送り出される血液の量は最大になります。また自律神経が興奮し始め、エネルギー源として糖や脂肪が最も消費されるポイントです。

 にこにこペースになる1分間の心拍数(脈拍数)は、「138-(年齢÷2)」という簡単な計算式で求めることができます。不整脈のない場合は、心拍数=脈拍数となります。
仮に年齢が60歳ですと、138-(60÷2)=108(目標値)となります。

 にこにこペースは、この心拍数(脈拍数)を目標にします。にこにこと笑顔を保ち、じわっと汗をかく程度です。医療機関で高血圧などの運動療法に取り入れられています。身体への負担が少ないですので、運動の際の参考にされてください。
(運動強度について 参考:鹿児島県国民健康保険団体連合会 ホームページ「にこにこペースを理解しよう」2019.10.2)

 

2022年10月14日

「肺」を守るための秋の過ごし方

 東洋医学では秋は「肺」の季節とされています。空気が乾燥して、のどや鼻の粘膜が乾きやすくなります。乾燥から粘膜のバリア機能が低下することで、空気中のウイルスや細菌などの異物が侵入して感染症にかかりやすくなるので注意しましょう。

 ※漢方医学で、「肺」は呼吸の機能を担います。その他、全身の気の調節や水の代謝を行います。

「肺」を守るための秋の養生(参考:小太郎漢方ニュース2021・秋号(※)より)
・早寝早起きを心がける
・適度な水分補給、加湿で乾燥を防ぐ
・呼吸に意識を向け、定期的に深呼吸をする。
・潤いを補う働きのある食材や、気の巡りを良くする食材を取り入れる

秋のお勧め食材(参考:NHKきょうの健康2016.9、(※)より)
・体を潤す食材・・・白菜、れんこん、白ごま、松の実、ぎんなん、白きくらげ、山芋、ゆり根、梨、ぶどうなど
・気を補い、気力を高める食材・・・さんま、いわし、さつまいも、じゃがいも、里芋、くり、まいたけ、落花生など
・「脾」「胃」の働きを整える食材(消化器の機能を整える)・・・もち米、れんこん、しいたけ、葛粉(葛切りなど)、キャベツなど
・気を巡らせる食材(ストレスの緩和に)・・・グレープフルーツ、ゆず、しそ、わさび、パクチーなど

2022年9月9日

晩夏から秋かけて、元気に過ごすための養生法

 晩夏から秋かけて、元気に過ごすための養生(手当て、セルフケア)について書きます。この頃に現れやすい症状は、食欲不振、下痢、疲労、集中力の低下、手足のだるさ、立ちくらみ、ドキドキしやすいなどといったことです。寝苦しい季節ではありますが、寝室を涼しくして質の良い睡眠をとることが大切です。そして冷たい飲食物を摂り過ぎ・エアコンにあたり過ぎを避け、こまめに室温調節をして、入浴時に湯船に浸かることができているかを点検します。

 
 ご来店の方に詳しく話を伺うと、「夏のお風呂は家族そろってシャワーを浴びるだけです」というご家庭もありますが、夏にぬるめの湯に数分浸かるだけでも、体の局所の冷えが和らいで、1日の疲れがとれやすくなります。そして睡眠の質の改善が期待できます。夏の疲れの予防や解消をしたいがまだ実行できていない方はぜひ一度取り入れてみてください。

 また日本の夏は、高温多湿なので、湿邪(しつじゃ;体にとって余分な水が溜まる)による脾虚(ひきょ;消化器の機能の弱り)が多いです。夏を迎えてから食欲不振や下痢、つかえを強く感じる場合は、水の摂り過ぎを控えましょう。冷たい水を、一気飲みするのではなく、冷たくない水をこまめにちびちび飲みして水分補給します。

 その一方で、暑熱(夏の暑さ)が原因の場合は、過剰な熱が体にこもり、微熱、体のほてり、頭痛、吐き気、疲労が現れます。肉体疲労や激しいスポーツなどで起こる日射病、熱射病です。漢方では、清暑益気湯、生脈散、牛黄清心元などを用います。

 秋になると、空気が乾燥して、呼吸器の働きに影響を受けやすくなります。今から体を潤す働きのある食材を摂ることで、「陰(いん)」を補い、体の内側からの対策をしましょう。お勧めの食材は、しじみ、パイナップル、梨、はちみつ、れんこんです。

参考書籍:NHKきょうの健康 2016.8
薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖 監修 喩静、植木もも子(監修)

2022年8月10日

夏を元気に過ごす食べ方のポイント

 朝方からもう体がじわっと汗ばむくらい蒸し暑くなっています。

 夜にはエアコンや扇風機をかけたまま就寝することもあるでしょう。とりわけ大阪の夏は過ごしにくいようで、特に関東から引っ越してきたばかりのお客様の何名かから、「大阪の蒸し暑さのレベルは違う、身に堪(こた)える」と言われることが過去にありました。ずっと豊中の市街地に住んでいる身からすると、おなじみの夏なのですが、例えば、8月に高原へ何日間か出かけていき、豊中に戻ってきた時に感じるくらいの体感の差があるのかもしれません。

 伝統的な東洋医学の五行学説から、夏は、「心(しん)」が活発に働く季節で、「心」の消耗しやすい季節だとされています。「心」は、心臓による血液循環の他、自律神経の機能、活動もコントロールをしています。

 夏を元気に過ごすための食べ方のポイントは、大きく分けると3つあります。
それは、
①体にこもる熱を逃がすこと
②内臓を冷やさないこと
③水分代謝を良くすること です。
養生(食べ方・過ごし方などのセルフケア)により自身の体を季節に合わせて柔軟に対応できるようにしておくと、次に来る季節もまた順応しやすくなります。

 また、暑さからくる体力の消耗に負けず、スタミナをつけるため、土用丑(どよううし)の日には、昔からうなぎを食べる習わしがありますね。今年の土用丑の日は、7月23日(土)と8月4日(木)です。例年、料理屋さんの前には、うなぎを求めて並ぶ人たちの光景を目にします。しかし、ご存知のとおり、近年はうなぎの入手がとても難しくなっています。うなぎに変わる、夏の疲れ解消・スタミナアップには、「あなご」も良いですよ。

■ 夏にお勧めの食材(NHKきょうの健康2016年7月号より一部改変)
○ 体にこもっている「熱」をとる食材
にがうり、すいか、緑豆もやし、ミント、緑茶、れんこん、トマト、きゅうりなど

○ 「湿(体の中の余分な水、不調をおこす要因となる水」を取り除き、胃腸の機能を整える食材
小豆、枝豆、さやいんげんなどの豆類、はと麦、とうがん、にんにく、はもなど

○ 「気(元気の気)」「水(津液)」を補い、気力を高める食材
うなぎ、あなご、たこ、そば、パイナップルなど

○ 「鹹味(しおからい)」味で塩分を補充する食材
あじ、あゆ、すずき、しじみ、昆布、わかめ、のりなど

 調理のポイントは同じ食材を連日食べることよりも、食性の異なる食材を組み合わせたり、日ごとに似た食材を別の食材に変えたりすることです。偏りが出ず、栄養バランスも良くなります。

 また焼く、蒸す、煮る、炒める、揚げるなどの加熱した料理を積極的に取り入れましょう。暑い日が続くと、のどごしの良い冷たい麺類、サラダなどが多くなる方が多いのではないでしょうか?冷たいものばかり食べていると、内臓が冷えて消化機能が低下します。温かい料理を意識して食べ、内臓の冷えを予防しましょう。

参考書籍
NHKきょうの健康 2016年7月号
協力会だより 小太郎漢方製薬株式会社 2021年夏号

2022年7月12日

デジタル社会の疲れ目対策と漢方

 スマホやパソコンの普及につれて、インターネットやSNSの利用によりデジタル画面を見る機会が増えています。また近頃は子供も学校でタブレット端末の導入やオンライン授業により目を酷使するようになっています。目の疲れや近視が進みやすい状況になっています。

 
 視力はいったん悪くなるとなかなか元に戻せません。特に子供の場合、近視の進行が速いです。大人も近視が進むといわれています。日常生活の中で気を付けていきたいことです。

 
 私自身(岡北)のことで恐縮ですが、中学1年の頃の視力は1.0以上ありました。中学2年の頃、眼鏡をかけることにあこがれ、意識的に目を悪くして近視になってしまったという苦い経験があります。気が付いたときにはもう視力の低下が進んでいました。その結果、コンタクトレンズや眼鏡がないと不自由な生活になり、雨の日や寒暖差のある場所に行った時に眼鏡が曇る・・という不便な思いをしています。

視覚から全情報の9割を得るといわれています。生涯を通して使い続けるものだからこそ、目を大切にして過ごしたいです。

 
 スマホや、タブレット端末の画面から目を守るための対策として、「20-20-20」ルールがあります。これは、米国眼科会議が提唱しているもので、連続して20分デジタル端末画面を見たり、平面の文章を読んだりなどすれば20フィート(6m)離れたところを20秒間眺めるという決め事で、30㎝以内の近見作業を意識的に減じる方策です。

 
 目の健康啓発のために作成された「ギガッ子デジたん! 活用マニュアル」日本眼科医会(企画・制作)によると、デジタル画面や読書などの近見作業をする場合、目と画面などの距離は30㎝以上離すことが大事で、連続して見る、読むのは30分までにすることを提唱しています。30分経ったら、一度それらから目を離して、20秒以上窓から外の景色を見たり、肩甲骨のまわりの筋肉を伸ばすストレッチ体操をしたりして目を休ませると良いですね。遠くを見ることで寄り目やピントを合わせる力が要らなくなります。理想としては調節力が「ゼロ」に近い「窓越しに見えるもの」を選ぶとよいでしょう。
 屋内の場合は、視線を外し、「2m-数m先のもの」であれば、寄り目にする力をほとんど使わず、また調節力も少しは残りますが30cmと比較してその力はわずかで済みます。
また、日陰でよいので、太陽光を1日2時間浴びると近視の抑制に効果があるそうです。

 
 夜の風呂上り以降はスマホやパソコン画面を見ないようにすることも大事です。デジタル画面の多くは強い光を出すために、入眠を促すメラトニンというホルモンの分泌が阻害されるそうです。
カウンセリングの際、お客様から「ふとんの中で寝落ちするまでスマホ画面を見ている」と伺うことがあります。外見上眠っていても、「夜間に夢をよく見て寝た気がしない」、「日中疲れやすい」という場合、充分眠れていないかもしれません。

 書籍「眼が良くなる 10の眼トレ」 眼科医・医学博士 平松類ら(著)によると、睡眠不足だと、目の毛様体筋が疲労し、ピントの調節機能が落ちるそうです。睡眠不足が続くと、それだけで目が悪くなる危険性があると書かれています。

 
 疲れ目、ドライアイ、充血など目の症状に用いる漢方薬は、杞菊妙見丸(こぎくみょうけんがん・第2類医薬品)、洗肝明目湯(せんかんめいもくとう・第2類医薬品)、滋腎明目湯(じじんめいもくとう・第2類医薬品)があります。肩こりのある場合には、風治散(ふうじさん・第2類医薬品)を補助で用いることもあります。症状に応じて使い分けをします。

個別にカウンセリングを希望される方は、事前にご予約の上でご相談ください。

参考
「ギガッ子デジたん! 活用マニュアル」日本眼科医会(企画・制作)
書籍「眼が良くなる 10の眼トレ」 眼科医・医学博士 平松類ら(著)

2022年6月10日

お腹の冷えは、「体の冷えと さまざまな不調」をつくる

 夏に食べる物・過ごし方で、次にやってくる秋冬に、冷え・むくみ、それらからくるさまざまな不調(めまい、耳鳴り、体のだるさなど)を軽減することができるか、楽に過ごせるかを決めます。

 漢方医学では、消化器全般の消化機能、栄養代謝、栄養物と水分の輸送などの機能系などのことを「脾」といいます。「脾胃」により生命活動を維持するのに必要な栄養素を運搬、産生をし、供給をします。「脾」は体の中心を担う臓器といえます。

 冷え症について、例えば手や足がぽかぽかと温かく感じられていたり、顔や背中に汗をかきやすい状態であったりしても、お腹が冷たいのなら「冷え症」ととらえます。自然療法の第一人者として知られている医師 石原結實氏の著書「石原結實の絶対健康法」では、「お腹の冷えをセルフチェックするには、おへそより上の部分とおへそより下の部分を触ってみて、温度が変わっていないかどうかを調べます。おへそより下が冷たい人には、生理痛、生理不順、冷え症、むくみの症状がみられます。」と書かれています。

 消化管から分泌される「消化酵素」は、食べ物を消化して体にとって必要な栄養素を取り出し、小腸から吸収しやすくしたり、細胞が活動するときに、必要なエネルギーに転換したりするときの変化の仲立ちをする役目があります(触媒)。酵素が最も活性化され、最大限に働くことが出来るのは37℃の時です。酵素が一番働きやすい環境を作り出すため、体温は恒常性の維持により一定に保たれるようになっています。酵素は温度が上昇しすぎると途端に反応が遅くなります。その一方である温度以下の場合、酵素の働きが悪くなります(参考:「看護のため正常・異常ガイドブック」 昭和伊南総合病院健診センター長・医師 山田幸宏(著))

 冷たいものを摂り過ぎると、胃腸が氷嚢(氷袋)のようになり、消化器の温度が下がります。腸の働きが弱り、下痢や便秘になります。消化するための酵素の働きも鈍くなるでしょう。食べ物の消化を高め、栄養素が体に充分に摂り込まれるようにするために、お腹を冷やさないように気を付けることが大切です。

 漢方医学では、漢方の服用はもとより、日常の食事、生活の送り方(養生)を重視しています。食事の内容や生活の送り方で体がつくられています。
 
 例えば、冷え症を改善するために、漢方薬や健康食品を飲んでいたとしても、毎日生野菜・果物で作られたスムージーや冷製サラダを食べていたり、入浴はシャワー中心(シャワーと組み合わせて足湯をしていたら良いです)であったりの生活を送っていると、漢方薬などの効果が充分に発揮されません。

 冷え症でお困りの方は、夏になったばかりの今、食事や生活を点検してみて下さい。上記に挙げたことに気を付け、改善していくだけでも冷え症が緩和されることがあります。

 私(岡北)のこれまでのカウンセリングの経験から言えば、寒さが厳しくなってから冷え改善に取り組むよりも、夏から取り組んでいった方が冷えと、冷えからくるさまざまな不調はより早く改善できます。その上、秋冬も楽に過ごせるようになります。

2022年5月5日

脳が興奮し、寝つきが悪くて困っている場合に用いる漢方、自然薬

 新型コロナウイルスの流行後から、風邪の予防が行き渡っている影響でこじれた風邪の相談はほとんどなくなりました。その一方で、風邪の初期症状に使うお薬を求める方がとても増えています。

 免疫機能の調整は、質の良い睡眠が充分にとれてこそ発揮されます(ヤフーニュース4/6 : https://news.yahoo.co.jp/articles/a671f27cadf508fddf211f6062180f2c2a6e1597)。遅くても夜12時までに就寝、可能ならばもっと早く床に就きましょう。

 質の良い睡眠を得るための前提として、①起床後、ふとんから出たら朝の光を浴びること、②入浴では熱すぎない湯船に浸かること、又は足湯をすること、③寝る前にスマートフォンやパソコンなどの強い光を浴びないことの3つが大切です。

 お客様の話を詳しく伺っていると、上に挙げた睡眠の環境に気を配っていても、就寝後、翌日以降のことを考えてしまい、緊張が抜けずに脳が興奮したり、不安になったりして寝つきの悪い方、睡眠の浅くなる方が少なくないです。脳の緊張を和らげる対策の一つとして、安らいだ気持ちになれる香りを嗅ぐ方法があります。東洋医学の観点から、香りの良いものには、気(元気の気)の巡りを促して代謝促進したり、精神を落ち着かせたりする働き・作用があります。

 夕食後、入浴を済ませてから、例えばアロマセラピーのラベンダーオイル(精油)の芳香を楽しむことや、ラベンダーティーを飲むとリラックスが期待できます。就寝時にラベンダーの精油を1滴つけたハンカチを枕元に置くことも良いでしょう。この他、リラックス効果のあるカモミール、クラリセージ、サンダルウッドなどが知られています(書籍 眠れなくなるほど面白い 自律神経の話 小林弘幸(著))。

 「自然薬」では、松寿仙(第3類医薬品)の原液を適量の白湯(熱湯でも良い)で割った後、ゆっくりと飲むことがお勧めです。日本産の赤松葉、クマザサの香りでほっとした気持ちになります。

脳の興奮時には、ホノミラビオ(第2類医薬品)を1回2錠服用します。不安な気持ちで眠れない時には、清香散(第2類医薬品)+紫華栄(第3類医薬品)を1回各1包飲みます。これらの薬は、生薬を使用しており、依存性、習慣性は全くないので、毎日服用可能です。

他、眠りの浅い日が何日も続いて慢性的な疲れがあり困っている時は、ワタナベオイスターDHMBAゼリー(機能性表示食品、消費者庁に届出済、ヒト臨床試験済)を飲みます。次第に、質の良い睡眠が得られ、しつこい疲れがとれてきます。その結果、日中に体が自然に動かせるようになり、集中力が増します。仕事や家事がはかどります。

漢方や自然薬には、生活の質を良くすることに役立つものも豊富にあります。私(岡北)、スタッフも使い分けて愛飲しています。

 温灸器をお持ちなら、温灸時に耳を温めると、気持ちが安らぎます。耳には全身のツボがあり、毛細血管も多い場所です。耳に温灸をすることで全身の血行が促進され、体をリラックスさせる働きがあります。慢性疲労、精神不安、不眠症、冷えに対応できます。けやき堂薬局で使用している温灸器は、座位の姿勢で温灸出来るものであり便利です。医療機器のため、安全性が高いです。温灸剤にはヨモギを使用しています。
けやき堂薬局の店内で温灸体験が出来ます。お気軽に電話などでご予約下さい。所要時間は30分です。

2022年4月8日

目の疲れと、肩のこりを解消する、お勧めの方法・漢方

 けやき堂薬局では年間を通じて目の疲れと、肩こりは訴えの多い項目となっています。主訴というよりも随伴する症状で言われます。特にデスクワークの多い方、奥歯をかみしめるクセのある方、パソコン・スマホ画面をよく見ている方、編み物や裁縫などの手芸をする方などは、同じ姿勢で近いところを集中して見たり、首や肩に力が入っていたりしているので、症状が現れやすいです。

 近いところを長く集中して見ていると、カメラのレンズで例えるならピント調節をしている筋肉(毛様体筋)が縮んで、周辺組織の血液の流れが滞ります。これは目の疲れを起こす要因です。私自身もパソコンで長時間仕事をしていると、目に疲れが出てきます。お客様から目の疲れや肩こりの対処法をよく質問されますし、自身もこれまでにいろいろな方法を試してきています。今回は、目の疲れと、肩のこりを解消する、お勧めの方法を3つに絞り紹介します。

  まず一つ目はパソコン画面など近くを見ている時間の15分のうち1回は、遠くを見ることです。毛様体筋が縮んでいる状態からそれを伸ばして、血液が流れるようにします。コツは、例えば窓の外にある目標物の一点をじっと凝視するのではなく、遠くの景色をぼーっと眺めるイメージで見る方がよいです。

 二つ目は首・肩の周りの筋肉をほぐすことです。両腕を同時に(肩甲骨を広げるイメージで)左右の腕を前方に曲げる、その後両腕を(肩甲骨を狭めるイメージで)左右に広げる体操をすることです。そして肩をゆっくりと上げて下げる体操をします。目の疲れている時は、肩もこっています。首・肩周りの筋肉を伸ばし、血液が流れるようにして、目の疲れの解消を促します。

 三つ目は、温かく蒸らしたタオルを約10分間、軽く目を閉じた状態でまぶたにのせることです。タオルを水で濡らして軽く絞り、形を整えて電子レンジで温めます。目安は電子レンジで600w 40秒程度、蒸しタオルの適温は40℃前後です。冷たくなってきたら温かいタオルに交換するのがより良いです。花王の研究では、10分間の装用でリラックスや全身疲労の回復にも効果が出ています。

 もっと詳しく知りたい方は、(目について)書籍 目が良くなる!!10の目トレ 平松類ら(著)ぴあ出版、(肩こりについて)NHKきょうの健康 2022年1月号をご覧ください。
 
 目はデリケートな構造をしています。まぶたの上から眼球を強く押すと視神経が圧迫されます。マッサージをしようとして眼球をぎゅっと押したり、目をゴシゴシこすったりすることは避けましょう。

 
 お勧めの漢方薬について。杞菊妙見丸(こぎくみょうけんがん:第2類医薬品)です。若い方でもパソコンなどの画面で目を酷使した後などにみられる目の疲れや痛みなどに良いです。
杞菊妙見丸は、加齢による目のかすみや、ドライアイにも対応します。

 肩のこりには、頓服で漢方薬の風治散(第2類医薬品)と紫華栄(第3類医薬品)を併用。風治散で肩を温めて血行を良くし、紫華栄で老廃物の解毒を助けます。
肩の凝りや目の疲れでお困りの方、ご相談ください(じっくりと個別相談を希望される方は要予約)。

参考書籍、資料:目が良くなる!!10の目トレ 平松類ら(著)ぴあ出版、NHKきょうの健康 2022年1月号、日職災医誌, 62:8-16, 2014

2022年3月5日

1日の歩数と、病気の予防(筋力低下、うつ病)について

 この冬一番の寒さと、コロナウイルスの流行で、室内にいる時間が増えていませんか?
国内では2020年の初めに流行してから、今年で2回目の冬を迎えました。

 お客様とのカウンセリング時に、話をよく伺うと、自宅の滞在時間が増えたことで、運動不足になっている方が多いようです。「徒歩で買い物に出かけている」とはいっても、流行前と比べて、同じくらいの量を歩いているかを振り返ってみましょう。

 自宅にいる時間が増えることで、1日の運動量以上に食事量が増えたり、質の良い睡眠を得にくくなったりすることがあります。運動不足になって困ることは、フレイル(筋力低下)による心身の衰えと、血流低下などによる自律神経の不調(うつ病等)になることです。

 運動で手軽に始めることができる方法は、何といっても、「ウオーキング」です。特別な道具が不要で、お金もかからず、いつからでも始めることの出来るメリットがあります。また、歩くことは良いことだと世間で広く認知されています。

 一方デメリットは、天気や気温に影響されること、ウオーキングで得られる効果をすぐに体感しにくいこと、黙々と歩くことに楽しみを見出しにくいことでしょう。ウオーキングを習慣化するには、決めた時間、又は決めたタイミングが来たら、多少面倒だなと思ったとしても、迷わずさっと外に出ることでしょう。

 
 厚生労働省では、「健康日本21」の方針として、「1日1万歩」歩くことを理想にしています。

 当面10年間の目標として、実際の1日あたりの平均歩数よりも1000歩増の男性9200歩、女性8300歩(高齢者 男性6700歩、女性5900歩)歩くことを目標にしています(平成9年度国民栄養調査を基準)。この目標には、日常生活で歩く歩数も含まれています(買い物、通勤での移動、階段を上ることなど)。
 ※ 1000歩は、約10分で得られる歩数であり、距離600-700mに相当すると計算しています。
 ※ 世界保健機関(WHO)では、65歳以上を高齢者と定義しています。

 「1日1万歩」は、アメリカのスタンフォード大学で出された文献が根拠になっています。週当たり2000kcal(1日平均で300kcal)のエネルギー消費に相応する身体活動が推奨されています。アメリカのスポーツ医学会協会が提示する式をもとに計算すると、1日300kcalをエネルギー消費量するには、1日1万歩の歩数で相応するそうです。

 在宅で仕事をしている方、自宅での滞在時間が増えている方には、1時間に1回はトイレに行く、買い物には遠回りをして歩く、身の回りを掃除することなどこまめに動くことがお勧めです。また、天気の悪い日や足腰に痛みが強くて歩けない時には、ラジオ体操(椅子に腰をかけてする方法もあり)や、動画を見てエクササイズすることを、を取り入れてみましょう。

 
 また、健康維持目的の場合の、運動強度の目安があります。おしゃべりしながら運動でき、汗ばむ程度が良いです(「にこにこペース」と呼ばれています)。このペースで有酸素運動をすると、一定時間継続でき、脂肪燃焼に役立ちます。持病のある場合は、楽にできるペースから徐々に強度を増やしていくと良いでしょう。

 
 歩くことと病気の予防について。群馬県中之条町の65歳以上の住人5000人を対象に日常の身体活動と病気予防の関係について調査しています(2000年より継続的に実施)。1日あたり2000歩(早歩きの時間 0分)でねたきり予防、4000歩(早歩きの時間 5分)でうつ病予防、5000歩(早歩きの時間 7.5分)で要支援、要介護、認知症、心疾患、脳卒中を予防できるという結果が出ています。

 このことから、1日1万歩を歩くことを急に始めるよりも、少ない歩数だとしても、とにかく毎日継続することの方が、長い目で見て体力の向上と病気の予防に役立つと言えます。

 
 けやき堂薬局では、漢方薬の選薬時と服用後のフォローの際、食事・運動のアドバイスやチェックも同時に行っています。選薬した漢方薬の効果を引き出すためと、症状回復後では良好な状態を長続きできるようにするためです。
一言で食事や運動といっても、一人ひとりの体質や生活習慣、生活背景は異なりますので、必要なことに的を絞って伝えています。

参考
厚生労働省ホームページ 健康日本21(身体活動・運動)
Newton 2021.7 健康の最新科学
健康長寿ネット 運動強度とは

2022年2月15日