けやきのすくすくブログ
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梅の果肉と、夏の疲れ対策

 6-8月は梅の旬です。梅は古くから日本人になじみ深い食材です。梅酒や梅干しといった食品でおなじみです。梅干しは食中毒の予防や食欲増進に、梅酒は夏の疲れ(夏負け、夏ばて、暑気あたりとも言います)に良いです。梅の果肉が酸っぱいのは、クエン酸がたくさん含まれているからです。

 梅の実は薬用としても用いられます。生薬「烏梅(うばい)」は、梅の未熟な実(青梅)を燻(いぶ)して乾燥させたものです。烏(からす)のように真っ黒い色をしていることから、この名がつけられています。胃腸の働きを整える作用や抗菌・抗真菌作用があり、体を温めます。生で青梅を食べると、食中毒を起こして腹痛になります。しかし青梅が熟成すると腹痛を起こす成分(青酸)が蒸散(外の発散)して、毒性がなくなります。

 中国や台湾では、烏梅とサンザシや甘草、砂糖などをお湯で煮出して、暑気払いの飲み物にして、生活に取り込んでいます。その飲み物は梅湯(サンメイタン)と呼ばれ、甘酸っぱい味がします。

 梅肉膏は、青梅の果肉をすりおろし、布巾でしぼった汁を天日で濃縮、またはゆっくり加熱して煮詰めたものです。江戸時代から伝わる日本独自の民間薬です。一般的に、梅肉エキス、または梅エキスと呼ばれています。現代では、梅肉エキスは健康食品として分類されていますが、昔は薬として用いられてきました。
 興味深いことに、梅の果肉に豊富に含まれるクエン酸と糖の一種が、熱をくわえられることで変化して「ムメフラール」という成分が生み出されることが明らかになっています。最近、このムメフラールには、血行促進や代謝アップする作用がわかっています。(岡北)

参考書籍、資料
漢方のくすり事典 鈴木洋(著)
食材大全 NHK出版(編集)

2024年6月10日